熱量 1枚の絵画が放つLOVE STORY
第2章 レッドクレー
凛子@ローマ
世界の観光都市ローマに入る。
倒産や買収の憶測が飛び交うアリタリア航空のビジネスクラスは、
機内食が伝統的なイタリアンでワインが豊富だ。
凛子は、外資系ホテルチェーンとアリタリア航空の共同PRの仕事で
5月中旬にローマ入り。
アジアをターゲットに観光客をさらに誘致するのが狙いだ。
この季節、イタリアの気候は素晴らしく、陽光が降りそそぐ深緑が眩しい。
イタリア語はあまり得意ではないが、クライアントは英語可なので何とか切り抜けられそうだ。
アリタリアのクルーと共に送迎バスに乗り込みローマ本社に。
チェントロ内の揺れは相変わらずだ。
あー「Bonci」のスクエアカットされたピザが食べたい。
ローマに来るたびにまずはここのピザをテイクアウトする。
ディナーはだいたい21時~、ピザを数種類堪能しても十分消化する。
荘厳な石造りの建物に入ると大理石のフロア。Gucciデザインのユニフォームを纏うアリタリアのスタッフが行き交う。
アンティークなエレベータに乗り込み3Fに。
(ヨーロッパはエレベータの階数表記が日本と異なるので頭を切り替える。)
案内されたミーティングルームはジウジアーロのインテリアがイタリア流だ。
まるでレーシングシートのような真っ赤な椅子は、カラダ全体が包み込まれるような感覚。さすがイタリアンオフィスだ。
ホテル、アリタリア、ローマ観光局それぞれのアジア担当スタッフと顔合わせを済ませ、
明日からロケーションハンティングだ。
このプロジェクトは、アリタリアからエアフォース出身のマッテオに、CA出身のラウラ。ホテルからは広報のリンダ、サルディ。
そして凛子とカメラマン兼通訳のサトルが担当する。
(サトルは外資系企業専門のカメラマンで、数か国を通訳する国際的な日本人だ。)
「凛子、移動はトラム?」
「レンタバイクはある?」
「え???国際免許証はある?」
「もちろん。各国どこでもロケハンはバイク移動が便利だから。できれば中型以上で。」
「俺のKAWASAKIは?クルマはアウトビアンキがあるしNAVI付で外ナンバーだ。」
「perfetto!grazzie mille」
サトルはキーを凛子に渡す。
さっそくBonciのピザだ。
「凛子!夕食はナボナ広場近くのリストランテに21時。ホテルに迎えに行くね。」
「ありがとう。」
バイクは快適だ。外ナンバーは止められることがない。
街中にテニスのローマオープンのフラッグがなびいている。ATPマスターズ1000はグラドスラムに次ぐ大きな大会だ。
ローマの街を流し、Bonciのピザをテイクアウト。ホテルに戻る。
エントランスにバイクを停めて、ヘルメットをはずすと一斉に視線を浴びる。
アジア人が大型バイクでホテルに入るのは珍しいようだ。
ドアマンにキーを預け部屋に入る。
典型的なヨーロッパのホテルで、キングサイズのベッドに天井と壁に天使が描かれ、かなりローマを意識している・・・・
冷蔵庫に並ぶCON GAS表記のミネラルをグイっと飲み干す。